2023年8月4日金曜日

花に三態あり

 中国の洪自誠が書いた「菜根譚」という本の中に「花に三態あり」という言葉が載っている。路地に咲く花と、植木鉢の中で咲く花と、花瓶にさしてある花の三態である。この花たちの生きざまを考えてみれば面白い。花瓶にさしたる花はしばらくすると黙っていてもすぐ枯れる。植木鉢に咲いている花は、主人の都合であちこちに運ばれる。路地に咲く花は踏まれてもなお力強く生きているではないか。私は子育てにも三態あると思っている。子どもの前を歩く者、子どもと伴に歩く者と、子どものやや後ろから歩く者。この「菜根譚」は私の座右の銘として初等学部の理事長室の本棚にある。この「花三態」にならい「子育て三態」をよく吟味して自分の理念として大切にしてほしい。

 私は漢文を学んだことがないから古文は読めない。それでも現代語訳になった古文は良くかじったことがある。昔の人は何を考えて生きていたのだろうかと考えると、面白くて仕方がなかった。日本の三大随筆集と言われている清少納言の「枕草子」鴨長明の「方丈記」や𠮷田兼好の「徒然草」。この三冊の筆者は平安・鎌倉・鎌倉末期と西暦1000年から100年おきに現れている。文章の見事さは言うまでもないけれど、文章そのものが今でも息づいているではないか。漢文や古文ではないから読みやすいし、現代文に訳した訳者にひれ伏したくなるようなそんな思いすらする。感性の鋭さや路地を歩く人々の会話すら聞こえてくるような、なんと見事なんだろう。

 しかしこの時代に紙は貴重なものだったろうに、しかも筆を使って書いているに間違えればその紙は1枚使えなくなってしまうから、宮廷と関わりのあるものにしか配給されないだろう。しかし万葉集などにはこの時代から庶民も参加していたから、貴重な紙の分配はどうなっていたのだろうか。

能登半島

   能登半島でM7の巨大地震があるなんて夢想だにしなかった。正月に「昨日と同じ朝が来る」なんて不謹慎なことをかいてしまった。まさかそのあとで能登半島に大きな地震が来るなんて悔やみきれない。今日時点で死者数が202人となった。行方不明者がその200人を超えている。これからまだまだ...